世界遺産検定 不合格(!?)体験記

2024年11月23日17時00分

【裏技あり】『世界遺産学習事典』編集者が世界遺産検定1級に挑戦!

2024年の7月、世界遺産検定1級に挑戦したGakkenの編集者S村さんにインタビュー!
大学2年時には世界遺産検定2級を取得、また絶賛発売中の『世界遺産学習事典』を編集したS村さんは1級に合格できたのでしょうか。さらに、世界遺産アカデミーさんからのお叱りを覚悟の上、「裏技」も教えてくれたので、ぜひ最後までお読みください♪

 

世界遺産検定1級を受けたきっかけを教えてください。

S村 今年の冬から春にかけて世界遺産アカデミーさん監修の『世界遺産学習事典』(※)の編集に携わり、知識が増えたので力試しとして受けました。販促施策の一環として、会社から受験料を出してもらえたのも大きなモチベーションでした(笑)。

※『増補改訂版 学研まんが NEW世界の歴史 別巻 世界遺産学習事典』

 

事前知識はどのくらいあったのでしょうか。

S村 大学2年生のときに、2級を取得していたので世界遺産に関する基本的な知識はもっていました。あとはやっぱり編集中に得た知識は役に立ちました。世界史学習と世界遺産をリンクさせた『世界遺産学習事典』は世界遺産の掲載点数は少ないものの、一つひとつに踏み込んだ内容となっているため、掲載されている遺産については1級に対応できるレベルまで解像度が高まっていた気がします。

 

使用した教材を教えてください。

S村 公式が出している過去問(※)を購入しましたが、一年分しか解く時間がなく……。

世界遺産検定公式過去問題集 1・2級 2024年度版

ほぼ編集時に得た知識のみを携えて臨みました。僕は大学時代にクイズ研究会に所属していたため、2級を取得したときも、クイズの知識のみで戦っていて。今回も検定用の事前勉強はほぼできず、編集とクイズで得た知識のみで臨むことになってしまいました。1級レベルになるとクイズの知識はほぼ役に立たなかったのですけれど(笑)。

勉強方法を教えてください。

S村 編集中は「世界史の教科書」(※)と「世界遺産アカデミーが出している1級用のテキスト」(※)を読んでいて、結果的にそれが勉強になっていましたね。

詳説世界史 改訂版 世B310

世界遺産検定公式過去問題集 1・2級 2024年度版

それと、僕が編集した『世界遺産学習事典』は8年前に刊行した内容の改訂版だったので、新しく掲載する遺産の選定のために直近8年間で新たに登録された遺産を確認していました。日常的にユネスコのサイトを見たり、ネットを徘徊したりして「記憶の場」(※)などの最新のトピックを追いかけていたのことが大きく役立ちました。それと、本番では「裏技」も使いました。

 

※世界遺産の「記憶の場」とは

2023年に登場した新しい世界遺産における概念で、国家とその国民(少なくとも国民の一部)もしくはコミュニティが、記憶に残したいと考える出来事が起こった場所のこと。
平和と対話の文化を促進する教育的な場所であることが求められます。
参考:https://wha.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/c0be551087f0a92a39d41bbedc6800c3-2.pdf

 

「裏技」、気になります!

S村 「言葉の響きでその言葉がどこの国の言語か当てる」ことです(笑)。例えば、「○○という名の建築家が設計した遺産は?」という問題で、建築家の名前に「フォン」が入っていたら、名前の響き的にこの人はドイツ人だろう、ならばとりあえずドイツにある遺産を選んでおこう、という感じです。サッカーが好きな人は選手の名前、映画が好きな人は俳優や監督の名前など、知っている外国人の名前と国籍を思い返してみてください。登場人物の国籍がわかると世界遺産検定はかなり有利です。僕は「世界の遺産」パートの項目の3分の1くらいはこの「裏技」を使って正答しました。

結果はいかがだったのでしたか。

S村 134/200 で不合格でした。(1級の合格点は140点)

あと6点足りなかったので、2、3問正解できていれば……。

 

何が難しかったか教えてください。

S村 まずは「範囲が広すぎる」ことです。2級は300件、準1級は700件の遺産が出題範囲ですが、1級はおよそ1200件ある全ての遺産が出題範囲になります。僕が編集した『世界遺産学習事典』は140点しか載っていないため、その知識だけでは網羅できませんでした。ただ、事典は遺産の収録点数は少ないぶん世界史を切り口にした深い内容が書かれているので、世界遺産検定1級を学んでいるときに併せて読むと直接的に検定の役には立たずとも違う視点から遺産を学ぶことができておもしろいと思います。

それと検定の「基礎知識」パートも難しかったです。1級は「基礎知識」が50点分あるのですが、世界遺産の条約などに関する問題は過去問での対策が必須で、点が伸び悩みました。「基礎知識」は各級にありますが、範囲は同じでも内容の深さが級によって違うため1級レベルは生半可ではない難しさでしたね。

ちなみに、「日本の全遺産」パートは対策しやすいので満点も狙えると思います。一方で、範囲が広すぎる「世界の遺産」パートの正答率はある程度勉強しても半分から3分の2が相場かな、と思いました。

 

反省などはありますか?

S村 「過去問に取り組んだ量の少なさ」です。仕事が忙しい時期だったこともあり、世界遺産検定に向けての勉強時間をあまりとれなかったことが悔やまれますね。

 

最後にひと言お願いします!

S村 奥が深すぎるぜ、世界遺産……、でも近いうちにリベンジしたい!

 

S村さんが編集した『増補改訂版学研まんがNEW世界の歴史 別巻世界遺産学習事典』は好評発売中です!